色々あって面白い、今月の月名〔6月〕
6月は連日、降り続く雨を想うとちょっぴり憂鬱な時期ですね。
お出かけ出来ないこんな時には、少し知識を増やして気分転換してみませんか。
そうすれば6月も好きになるかもしれませんよ。
毎月、その月の和風月名や異名、月名の由来をご紹介しているこのコーナー。
今月は「6月」の月名をご紹介します。
まずは外国語の月名から。
6月は英語で『June(ジューン)』といいます。
この英語名は、ローマ神話の主神『Juppiter(ユーピテル)』の妻である、最高位の女神の『Juno(ユーノー)』に由来します。
ユーノーは6月に祭られていたため、「ユーノーの月」という意味のラテン語で『Junius(ユーニウス)』と呼ばれていました。
そこから派生して「June」になったといわれています。
余談ですが、皆さんは「6月の花嫁」という意味の『June bride(ジューン・ブライド)』という風習をご存じでしょうか。
ユーノーは最高位の女神だけでなく、女性の結婚生活や出産を司る女神でもあります。
そのため、ヨーロッパでは「ユーノーの月である6月に結婚する女性は、ユーノーの加護を得られて幸せになれる」と考えられたため、ジューン・ブライドが生まれたのです。
日本で6月というと、梅雨で天候が芳しくないため、かつては結婚式を挙げる人が少なくなる時期です。
そこで、この風習に目をつけたブライダル業界がジューン・ブライドをPRした結果、日本でも6月の結婚は憧れとなり、今日まで広く知られるようになったのです。
さて、英語以外では6月をどのように呼んでいるのでしょうか。
他の国でも「Junius」から変化しているものが多く、スペイン語だと『junio(フニオ)』、フランス語だと『juin(ジュアン)』、ドイツ語だと『Juni(ユーニ)』となります。
イタリア語では、ユーノーを『giunone(ジュノーネ)』と呼んでいたため、そこから派生して『giugno(ジューニョ)』と呼びます。
日本の旧暦に使われていた「和風月名」では、6月を『水無月(みなづき)』といいます。
由来は諸説ありますが、有名な二つ説は全く正反対の内容なのです。
一つは、「みなづき」の「な」は「の」を意味する連体助詞のことであり「水の月(みのづき)」であるという説です。
これは、水の表面を「水面(みなも)」、水の底を「水底(みなそこ)」と読むのと同じ考え方といわれています。
6月を「水の月」と呼ぶのは「田に水を張る必要がある月」という意味を指しています。
また「な」の漢字が「無」なのは、よく見られる当て字の類なのだとか。
もう一つは、そのままの意味で「水が無い月」であるという説です。
旧暦6月は、新暦でいうと6月下旬から8月上旬のあたりで、実は梅雨がとっくに空けている時期なのです。
この時期は炎暑の月であり、泉の水が枯れてしまうため「水無し月(みずなしづき)」が短くなったのが由来になるといわれています。
二つの説以外にも「水に浸る月」という意味で「水漬月(みなずづき)」という説、「田植えなどの農業をやり尽くした月」という意味で「皆仕尽(みなしつき)」という説などがあります。
和風月名以外の異名
今は梅雨のイメージが強い6月ですが、旧暦では梅雨明け後の月です。
そして四季の夏にあたる最後の月でもあるため、なんとも夏らしい異名を多く持っています。
「鳴神(なるかみ)」とは雷の神様のことで、古来雷は神様が落としていると考えられてきました。
そこから雷鳴は「神鳴り」とも呼ばれています。
6月は雷が多くなる気象であり「雷鳴が多くなる」ことから名づけられた異名です。
暑い日が続く夏は、涼しく吹き抜ける風が待ち遠しくなります。
そんな「風を待つ月」を少し洒落た呼び方にした異名です。
「気温が高い夏のような月」という意味に思われますが、ここでは別の意味です。
古くから愛される花「ナデシコ」は数多くの呼び名があり、「長い期間を咲いている」姿から「常夏」と呼ばれました。
6月は「常夏の花の盛りの月」であることからこう呼ばれたのです。
夏になると今まで着ていた服装だと暑く感じてしまいますよね。
薄くて軽い夏の着物や布のことを「蝉の羽(せみのは)」といい、「薄物を着始める月」であることからつけられた異名です。
日中は日差しが暑いですが、夕方になるとその暑さも和らいできます。
そんな「涼しい暮れ方の月」という意味を表す名前です。
旧暦6月の二十四節気では、一年で最も暑さが厳しく盛りであることを意味する「大暑」がやってきます。
「夏の盛りの日は昼間が長くなる」ことに因んで名づけられました。
新暦だとまだ夏に入ったばかりの6月ですが、実は旧暦だともう夏の最後の月になっています。
「季」は「終わりの月」という意味があり、「夏の終わりの月」という意味で名付けられた異名です。
日本ではあらゆる人の罪や穢れを祓う「大祓(おおはらえ)」と呼ばれる神事が6月と12月に執り行われます。
うち6月に執り行う大祓を「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」といい、「夏越の大祓が行われる月」であることから名づけられました。
中国の五行説に紐づいて配された「十二支」と北斗七星の尾の方角を表す「月建(げっけん)」を組み合わせて名づけられたのが「建未月」です。
6月は月建が「未の方角を指す」ことからこう呼ばれます。
上記と同じく五行説に配された、中国伝統音楽の音の高さ「十二律」。
その「8番目の音」は、旧暦で年の始まりであった11月から数えて8番目の6月に当てはめられて異名となりました。
現在の6月のイメージからは、想像しづらい異名が多くありましたね。
それほどまでに旧暦と新暦のギャップが顕著なのが6月なのです。
さて、来月からは旧暦上、一足先に秋が始まります。
一体どのような名前があるのかお楽しみに。
各月の月名紹介
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