読者の選択と運で展開と結末が変わる物語。本の中で自分が冒険ができるゲームブック。

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通常、小説といえば最初から最後までの物語の道筋が決まっているものです。
誰がいつ読んでも、主人公の選択や話の結末が変わらず、全ての読者が一様の体験をするのです。
そんな小説を読者によって話の展開が変わる作品へと進化させた文学があります。
それは読者を主人公へと昇華させる文学です。
本日は読者が主人公になれる文学、「ゲームブック」についてご紹介いたします。

 

読者の選択で話の展開が大きく変わる小説

皆さんはコンピューターゲームで『アドベンチャーゲーム』を遊んだことはありますか。
プレイヤーの行動によって話の展開が変わる思考型のゲームジャンルです。
その中でも状況の描写や心理の描写が事細かく描かれ、まるで小説のように文章を読み進めてプレイする『ビジュアルノベル』または『サウンドノベル』というジャンルがあります。

今では主流なジャンルですが、この元祖ともいわれるものが『ゲームブック』と呼ばれるものです。

ゲームブックには小説と同じように「宝物を探す」「敵を倒しに行く」など、物語があり目標や筋道があります。
通常の小説と大きく違うのは「頭から順番に読み進める本ではない」ということです。
本の文章は数十や数百の『パラグラフ』と呼ばれる番号が振られた段落に細かく分けられています。
パラグラフの末尾には、次に読むパラグラフの番号が記載されており、読者はその番号のパラグラフを読み進めます。

しかし、行先のパラグラフは一つとは限りません。
例えば「右の道を行く⇒54 左の森に入る⇒39」など、時には選択肢が記載され、読者に次にどのパラグラムを読むのかを委ねられます。

選んだパラグラムによって行先や展開は大きく変わっていき、中には物語の途中で終わってしまうこともあります。

また、その選択肢も必ず自分で選べるわけではなく「サイコロを振って出た数」「本を適当に開けたときのページ数」「以前に行った選択の有無や判定の結果」などで決まってしまうこともあります。

ゲームブックは、読者の選択と運によって展開や結末が変わっていく「参加型小説」なのです。

 

さらりと見るゲームブックの歴史

エンターテイメントの要素もあるゲームブックは、いつ登場したのでしょうか。
世界最古のゲームブックといわれているのが、1930年にアメリカで出版された『Consider the Consequences!』という分岐式の恋愛小説です。
読者は女性1人・男性2人の登場人物の選択肢を選び、最高の結末を見つけるというものでした。
今のゲームブックとは違って結末までのフローが記載されており、複数人からアンケートを取って楽しむパーティーゲームとしての遊び方も記載されていました。

1979年には、子供向けのゲームブック『Choose Your Own Adventure(日本語訳:きみならどうする?)』が発行され、アメリカで初めて成功したゲームブックとして有名です。
二人称視点で書かれ、主人公を読者が演じる形のもので、この時もサイコロを使うランダム要素は無く、パラグラムを選ぶシンプルなものでした。

ゲームブックの歴史において大ベストセラーとなったのは1982年にイギリスで発行された『The Warlock of Firetop Mountain(日本語訳:火吹山の魔法使い)』です。
パラグラムの選択だけでなく「ダンジョンを散策しているような移動」「状況によって変化するステータス」「サイコロを2個使用した戦闘」などが取り入れらえており、よりゲーム性が高い作品に仕上がりました。

さて、日本ではというと、前述の「きみならどうする?」が1980年に翻訳され出版されていましたが、子供向けの割には難しい内容だったため、あまり日本でヒットしませんでした。
そんな中、1984年7月に「マイコンBASICマガジン」というパソコン雑誌の中で『ペーパーアドベンチャー』というコーナーが掲載されました。
これが日本国産で初めてゲームブック形式で掲載されたものといわれています。
「アドベンチャーゲームを紙でプレイする」ことをコンセプトとし、2ページのスペースに70文字程度のパラグラムを100以上詰め込んだものです。

初めて単行本として刊行されたのは同年9月、「ハローチャレンジャーブック」シリーズの『出発!スターへの道』でした。
その後、同年12月に前述の「火吹山の魔法使い」が日本語訳されたものが発行されて大ヒットしたのです。

ゲームブックは日本で大流行し、海外本の翻訳だけでなく、オリジナルや映画・アニメをベースにしたものなど日本国産のゲームブックも多く発行されました。
加えて、ちょうど家庭用ゲーム機が爆発的に普及し始めた時期なのもあってか、コンピューターゲームやアーケードゲームの内容を取り入れたものも多かったようです。

他にもパラグラムを文章ではなく漫画で描き、間にクイズや迷路などを組みこんだ児童向けのゲームブックも発売されました。
私も昔、ポプラ社が出版していた『にゃんたんシリーズ』のゲームブックを夢中で遊んでいた記憶があります。

そんなゲームブックブームも今ではすっかり落ち着いていますが、今でも根強いファンがおり、新作が少しずつ発行されています。
また、電子書籍のものは、パラグラム番号をタップすると該当ページに遷移してくれるなど、現在の技術に合った作品に仕上がっています。

 

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せっかくだしゲームブックで遊んでみたい!

ゲームブックの魅力は「小説や漫画の作品に主人公や登場人物として参加できる」というところです。
本を読むたびに変化する没入感は、他の本では味わうことができないでしょう。
今までゲームブックに触れたことが無い人も、ぜひ体験して頂きたいところです。

しかし、まだイメージが掴めずちょっと手が出しづらいという方もいるでしょう。
そこで、他のサイト様で無料で遊べるゲームブックをご紹介いたします。

 

●FT書房公式HP
FT書房様は、ゲームブックを中心に書籍型ゲームを制作している出版社です。
このサイトでは『幻術剣闘士「死の地下闘技場」』というゲームブックがプレイできます。
文章量はありますが、パラグラムの数は多くないので、あまり気負わずに楽しめます。

 

●マイコソBASICマガジソ別冊 ALL ABOUT ベーマガ
「マイコンBASICマガジン」の読者だった個人の方が運営しているホームページです。
前述の「ペーパーアドベンチャー」を再現した『ペーパー・アドベンチャー・コーナー ケンヅョウコウヅの館』がプレイできます。
パラグラムが100程度ありますが、文章は短いので、こちらも短時間で楽しめますよ。

 

例えばコンピューターゲーム機であれば、ページの移動や状況の記録・整理などは自動でやってくれます。
しかし、それらをあえて手動で行う手間が、読者が作品に参加しているという体験に繋がります。
また、文章で表記されているからこそ、読者ごとに感じたり思い浮かんだりする想像が異なります。
ゲームブックは、小説や漫画などの本の持つ想像力とアドベンチャーゲームの持つ体感の魅力を兼ね揃えた作品なのです。
皆さんもぜひ遊んでみてください。

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