手軽に自分の気持ちを表現。三十一音に込める短歌の世界。

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日本文学といっても種類は様々であり、文章量の制限などが無い「小説」といった文学もあります。
しかし、あえてルールを定めることによって、表現したい内容を整理し、より作品を洗練させようとした文学もあるのです。
そんなルールを持った文学の一つが「短歌」です。
今、若い世代の間で密かにブームになっているのをご存じでしょうか。
中には実は何度も短歌を作っている、という方もいると思います。
ここではその面白さをもっと知ってもらうために、短歌のルールなどについてご紹介します。

 

国語でも習う、短歌のそもそもについて

『短歌(たんか)』とは、日本の古典詩『和歌(わか)』に分類される形式の一つです。
そもそも文学における『歌(うた)』というのは「ある一定の音の長さで言葉を整えて表現する詩」のことです。
音の長さが固定されるとそこに自然とリズムが生まれ、言葉に奥行きができます。
歌には表だけでなく裏にも意味が含まれていることもあり、感じ取った人々に印象や共感を与えてくれるのです。

短歌の歴史は古く、奈良時代の初期に書かれたとされる日本最古の歌集『万葉集(まんようしゅう)』から確認できます。
かつて短歌は貴族が詠むものとされ、心に訴えかける情景や相手への恋心をテーマにしたものが主流でした。

また、当時はストレートに自身の気持ちを詠むのではなく、様々な凝った技法を使って遠まわしに表現して、奥ゆかしさを大切にしていました。
例えば『縁語(えんご)』は、一つの短歌の中に「関連する(所縁のある)言葉を散りばめる」有名な技法です。
大体パターンは決まっており、例えば「衣」では「きる・はる・たつ・うら」などが、「緒(命を指す)」では「たゆ・ながらふ・よわる」などが縁語にあたります。

『小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)』に収録されている次の短歌では「橋」に対して「ふみ(=踏み)」が縁語になります。

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立

―『小倉百人一首』小式部内侍

他にも『歌枕(うたまくら)』と呼ばれる言葉は、定番の名所旧跡を指すもの。
奈良県にある「吉野山」、富士山を指す「富士山(ふじのやま)」、先ほどの短歌にも登場した「大江山」「天の橋立」も京都の名所です。

その後、明治時代以降の短歌は、身分に関係なく色んな人が詠うようになり、凝った技法を使うことに重きを置かなくなりました。
テーマは限定されず、日常の暮らしの中で歌人が気づいたことや感じたことなど取り留めのないことが取り入れられるようになります。
気持ちも遠まわしだけでなく、話し言葉などを取り入れてダイレクトに伝えることも増えてきます。
このような短歌は『現代短歌(げんだいたんか)』とも呼ばれています。

代表作としては、教科書にも載っている次の短歌などが有名ですね。

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

―『サラダ記念日』俵万智

 

 

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短歌における決まり事

さて、短歌には基本となる決まりごとが一つあります。
それは「五・七・五・七・七の五つの句、三十一音」で表現することです。

五つの句
『句(く)』「音のまとまりの単位」のことです。
短歌における五句は「五・七・五・七・七」の音数で分けられ、それぞれ「初句(一句)・二句・三句・四句・結句(五句)」となります。
前述した小式部内侍の短歌だと、五句は以下になります。

ここでポイントとなるのは『必ず句ごとで言葉を区切らなくても良い』ということです。
例えば次の短歌。

慈善病院に晩夏の霞立ち無花果くちびる色にふくれつ

―『水銀伝説』塚本邦雄

この短歌を先ほどと同じように五句に分けようとすると以下になります。

初句の言葉が中途半端な所で切れているのが分かります。
四句目も結句にかけて言葉が繋がっていますね。
このように句を跨ることによって、長い単語や音数に収まらない言葉でも用いることができるのが特徴です。

三十一音
もう一つのルールは「三十一音で構成されている」ということです。
この「音」は、文字数や通常の音の考え方とは異なります。

短歌の音は、日本語の『平仮名(ひらがな)』『片仮名(カタカナ)』の一文字で「一音」と考えます。
また長音の『―』、促音の『っ』、撥音の『ん』「一音」として数えられます。
例えば「簡単(かんたん)」だと四音「パッケージ」だと五音と数えます。

但し『捨て仮名(すてがな)』と呼ばれる小書きの仮名『ぁ・ぃ・ぅ・ぇ・ぉ・ゃ・ゅ・ょ』などは、その一文字で発音が出来ないので「一つ前の仮名と一体」として一音となります。
例えば「ギリシャ」だと三音「スティック」だと四音と数えます。

三十一音は基本形ではありますが、あえて音数を超過する『字余り(じあまり)』や音数を不足させる『字足らず(じたらず)』といった手法があります。
上述の塚本邦雄の短歌は、四句目が八音なので字余りを取り入れています。
字足らずで有名な短歌は次のもの。

群れる蝌蚪の卵に春日さす生れたければ生れてみよ

ー『日本挽歌』宮柊二

音を数えてみると「五・七・五・七・六」となり、結句が字足らずになります。

音のリズムを変えて句に強弱をつけることにより、定型では伝えられない印象を与えることが可能なのです。

 

手軽に誰でも挑戦できる短歌の魅力

古くから愛されてきた短歌ですが、実はここ数年SNSを中心に若い世代の間で密かにブームになっているのです。
大手SNS『Twitter(ツイッター)』では「#tanka」や「#短歌」などのハッシュタグが存在し、短歌に興味を持つユーザーと作品を見せ合うことができます。
なぜ若い世代に短歌が響くのでしょうか。

短歌は「俳句」のように「季節感を与える言葉(季語)を入れなくてはいけない」といった言葉の種類の制約が無いため、誰でも挑戦しやすいのです。
また、同じように言葉の制約がない「川柳」よりも音数が多いため、更に情報を多く、細かく表現することができます。

加えて、SNSは入力や表示の文字数に制限があるものが多く「決められた文字数の中で自分の伝えたいことを表現する」ことに慣れている世代なので、馴染みやすいというも理由の一つです。
日常の何気ない事やありふれたことを自らが感じたまま短歌にすることで多くの人との共感を生み、そこから人と繋がりができるのも魅力ですね。

そして、実際に歌人として活動してる人も、インターネットを通じて様々な場や方法で作品を発表できるようになりました。
それに伴い、色んな人に活動を目にする機会が増えたためか、若手歌人の歌集もベストセラーになることしばしば。
そこからまた多くの人が短歌に触れることを繰り返して、今日まで長く愛され続けているのです。

 

短歌に用いられる五音や七音は、なぜか日本人にとって心地良く聞こえる音です。
諸説ありますが、日本語の元である『大和言葉(やまとことば)』が二音節や三音節の言葉が多く、組み合わせた時に五音と七音になる説や、読み上げるときに自然と四拍子のリズムを取っているからという説があります。
短歌を含む和歌の根本は『歌謡(かよう』であると考えられているため、短歌の音の並びは日本人に引き継がれ続けてきた遺伝子に訴えかける音なのかもしれませんね。
皆さんも自分が感じたありのままを短歌という形で表現してみてはいかがでしょうか。

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