逆から読んでも同じ言葉。各国で楽しまれている回文。

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私たちにとって、言語は相手とコミュニケーションを取るための重要なツールです。
しかし、いつの頃からか、人間は言語の形や音、意味を組み合わせて遊ぶようになりました。
いわゆる言葉遊びは、世界中どの言語にも存在するのです。
その言葉遊びの一つに回文があります。
本日は「回文」の歴史や魅力についてご紹介していきましょう。

 

前から読んでも後ろから読んでも同じ言葉

「ありがとう」や「こんにちは」など、通常の言葉というものは、逆から読むと意味を成しません。
そもそも逆から読むことを想定していないのですから、当然のことです。
だからこそ、敢えて「逆から読んでも意味を成すように言葉を組み合わせる」ということを実践した言葉遊びがあります。
『回文(かいぶん)』とは「通常通り読んでも逆から読んでも同じ音になり、言語として意味を成している文字列」のことです。

例に挙げると皆さんもよくご存じの「新聞紙」、ひらがなで表記すると「しんぶんし」になります。
文字列で見ると明白ですが「しんぶんし」は、前後どちらから読んでも「しんぶんし」になり、同じ意味になります。
他にも「トマト」「子猫」なども前後どちらから読んでも同じですね。

回文は一つの単語だけでなく、文章としても作れます。
例えば、有名な回文フレーズの「竹藪焼けた」、ひらがなで表記すると「たけやぶやけた」となります。
前後どちらから読んでも同じ文字列であり、日本語としても「竹藪が焼けた」から接続詞が無いだけで、言語として成り立っています。
「文字の音や並びが変わらない」こと、そして「ただの文字の羅列ではなく、意味が通じる言葉になっている」こと。
これが回文の考え方なのです。

回文は日本語に限った言葉遊びではありません。
例えば、英語で有名なものだと「Madam, I’m Adam(ご婦人、私はアダムです)」があります。
ドイツ語だと「Ein Negar mit Gazelle zagt im Regen nie.(ガゼルを連れた黒人は雨の中でも決してひるみません。)」というのもあります。
音節が変わるので発音が同じとは言えませんが、文字上はきちんと回文になっています。

 

世界最古と言われる高度な回文

世界各国にある回文の中でも最も古いといわれているものは、古代ローマの「ヘルクラネウム」という町の遺跡から発見されたものです。
この町は西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火によって滅亡しており、その遺跡からラテン語で『SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS』と書かれた回文が発見されています。
逆から読んでも同じように読むことができますね。
現代でも「AREPO」という単語だけ解釈が不明ですが、一般的な翻訳は「農夫のアレポは馬鋤(ますき)を曳いて仕事をする」といわれています。

特筆すべきなのは、この回文が『5×5の正方形に配置』されていたということ。
左上から右向き、左上から下向き、右下から左向き、右下から上向きのどの読み方をしても同じ文章になるのです。

この回文は古代ローマのあちこちで発見されており、なんのために描かれたのかなど未だに謎が多く残っています。
とはいえ、少なくともこの時代から回文の概念が存在していたのは確かです。

 

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日本における回文

日本には、いつから回文があるのでしょうか。
日本語の回文が登場したのは、短歌形式の歌です。
最も古いとされているのは、1135年から1144年頃に成立した歌論書『奥儀抄(おうぎしょう)』上巻の歌です。

村草に くさの名はもし 具はらは なそしも花の 咲くに咲くらむ
(むらくさに くさのはなもし そなはらは なそしもはなの さくにさくらむ)

―『奥儀抄』藤原清輔

現代語に訳すと「多くの草に草の名はもし備わるのならば、どうして花が咲くのに咲いているのだろう」となります。
少々意味が繋がっていない部分がありますが、韻を踏みながらも、ちゃんと回文になっていますね。
他にも鎌倉時代後期頃に成立した『悦目抄(えつもくしょう)』の2巻目には、次のような歌もあります。

惜しめとも ついにいつもと 行春は くゆともついに いつもとめしを
(をしめとも ついにいつもと ゆくはるは くゆともついに いつもとめしを)

―『悦目抄』作者不明

また室町時代には、お正月の初夢で「七福神が乗っている宝船の絵を枕の下に入れて眠ると良い夢が見られる」という風習が始まったといわれています。
その絵には次の歌が書かれています。

長き夜の 遠の睡りの 皆目ざめ 波乗り船の 音の良きかな
(なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな)

この歌は室町時代の国語辞典『運歩色葉集(うんぽいろはしゅう)』「廻文(クワイフン)」の欄にも収録されています。
回文になっているだけでなく、縁起の良い言葉が掛かっており、本当にいい夢が見られそうな気がしますね。

 

頑張れば作れる?長い回文

「イルカは軽い」「鯛焼き焼けた」など、二つの単語を接続するような短い回文はあまり難しくありませんが、長文になればなるほどグッとハードルが上がります。
回文になる言葉を羅列するだけでも作れますが、意味が整わないお粗末な回文になってしまうのです。
そんな難易度の高い「長文回文」ですが、果敢にも挑戦したものが存在します。

フランス生まれの作家『ジョルジュ・ペレック』は、詩や小説を回文にするという途方もないことに挑戦した人物です。
有名なものは『9691 EDNA D’NILU O, MÛ, ACÉRÉ, PSEG ROEG』と呼ばれる詩。
タイトルの数字から最後に書かれた署名まで、全てが回文になっているというから驚きです。
『le grand palindrome emordnilap dnarg el』という小説は、かつて世界最長と言われるほど長い回文で、5000単語以上で構成されていたのだとか。

日本語でも作者が不明ですが『【噛んで「イテッ!」リップ。』という冒頭文から始まる回文があります。
独特の言い回しですが、なんとなく小説になっているので面白いですよ。

 

綺麗に整った回文を作るのは難しいですが、上手く当てはまると不思議な達成感があります。
知っている語彙や組み合わせ方が重要なので、ちょっとした脳のトレーニングにもなって良さそうです。
私もここで一つ回文を・・・

「何でか、ダメなメダカでんな(なんでかだめなめだかでんな)」

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