二十四節気から感じる季節~秋分~
少し前までは残暑を感じていた9月も、後半になると秋の気配を感じますね。
9月の後半はシルバーウィークが待っていますが、その中の祝日の一つに「秋分の日」があります。
これは、二十四節気の秋分から由来されている祝日です。
今回はそんな「秋分」についてご紹介していきます。
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春分と似ている秋分
『秋分(しゅうぶん)』は二十四節気の16番目で、秋の節気です。
実は暦の上では重要な節気の一つなのですが、一般的な認識は「秋分の日という祝日がある」程度ではないでしょうか。
まず天文学的な位置づけの秋分は、地球の赤道が天球上にまで延長して仮定した「天の赤道(てんのせきどう)」。
そして1年をかけて地球上を1周する太陽の通り道「黄道(こうどう)」が交わっている点にあたります。
このうち春の時期の交点が「春分点」であり「春分」、秋の時期の交点が「秋分点」であり「秋分」になるのです。
また、旧暦の解説書『暦便覧(こよみべんらん)』では「陰陽の中分なれば也」と記載されています。
秋分と春分の日は、日の出は真東から始まり、日の入りは真西に沈みます。
つまり私たちから見て「昼に通る太陽の軌跡」と「夜に通る太陽の軌跡」が同じ長さになります。
そのため、秋分と春分の日は「昼と夜の長さが同じになる」とされています。
しかし、これはあくまで理論上の話。
実際は、日の出・日の入りの定義や大気差の影響などで昼間の時間の方が少し長くなるそうです。
もう一つ、春分の日と同じなのは、冒頭にもお話しした『秋分の日(しゅうぶんのひ)』という祝日になること。
これは日本の宮中(皇居)で行われた、秋に歴代の天皇や皇族を祭る『秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)』という行事が元になっています。
この日は現在の「国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)」が制定される以前から祝日であり、法律施行時に名称変更されて「秋分の日」として残っているのです。
日本の行事、秋のお彼岸
秋分は春分と同じように日本の旧暦で使われていた特別な暦日の「雑節(ざっせつ)」の「彼岸(ひがん)」にもあたります。
彼岸は日本独自の行事で、仏教の浄土思想と日本古来の太陽・祖霊信仰が合わさったものと考えられています。
死後の苦しみが一切ない「極楽浄土」は西にあるとされ、日の出日の入りが東西平行になる・昼と夜の長さが同じになることから、秋分はあの世に一番繋がる日と考えられていたそうです。
そこから定着したのが彼岸であり、「国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)」でも「秋分の日」は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日と定められています。
秋に行われる「秋彼岸(あきひがん)」は、秋分の日を中日とし、その日から三日前の「彼岸の入り」、三日後の「彼岸の明け」までの7日間になります。
ちなみに春に行われる「春彼岸」と秋彼岸、行事内容にはあまり違いがありません。
強いて言えば、お供え物が牡丹餅なのか御萩なのかという点と、季節に合わせてお花が変わるという点です。
どちらにしても故人を供養するという点では大切にしたい行事ですね。
また、日本の気候を表す慣用句に『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉があります。
これは実際の気象状況に基づいており、夏の暑さは秋の彼岸にあたる秋分頃(9月23日前後)まで、冬の寒さは春の彼岸にあたる春分頃(3月20日前後)までには和らいでいくというものです。
彼岸は、丁度季節の変わり目を感じるのにも適した時期なのです。
秋に咲く彼岸花
彼岸といえば、今の時期になると全国各地で『彼岸花(ヒガンバナ)』が咲き始めます。
放射状に開く鮮やかな赤い花は、神秘的で美しくも感じます。
彼岸花という名前は、秋の彼岸の頃に突然花を咲かせることから命名されています。
蕾にあたる部分は地中の球根の中で形成され、秋になって土の温度変化を感じ取ると茎だけを先に伸ばして花を咲かせるのです。
ところでこの彼岸花、道端よりも墓地やお寺の近くでよく見かけるのではないでしょうか。
これには理由があり、彼岸花の球根部分には毒があるのです。
日本ではかつて、棺桶に遺体を入れて埋葬する『土葬(どそう)』が主流でした。
しかし、土葬したお墓を野生動物が掘り起こして荒らされることが多かったそうです。
そこで、お墓の周りに彼岸花を植えることにより、その毒性で野生動物からの被害を防いでいたのです。
また、別名『曼珠沙華(まんじゅしゃげ)』と呼ばれるように、仏教に由来する植物でもあることから植えられてたとも言われています。
秋の彼岸の頃にしか見られない彼岸花は、故人を迎えて守ってくれるありがたい存在なのです。
今回ご紹介した春分にも関わる部分は、以前のブログでも紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
ただの祝日のように思えた秋分は、暦的にも行事としても大切な日です。
季節の移り変わりを感じるとともに、亡くなった人を偲び、想いを馳せる日にしたいですね。
秋もそろそろ折り返しです。
体調に気をつけて、秋のこの時期を楽しんでいきましょう。
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