四方を司る神聖な生物。中国から伝わった四神の成り立ち。

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日本の文化には様々な世界の神話が数多く取り入れられています。
私はゲームや漫画が好きなので神話に触れることが多いのですが、なんとなく概要を知っている程度です。
しかしその背景などを詳しく調べてみると新しい発見が多いので知れば知るほど、より作品の世界観を楽しめるようになるのではないでしょうか。
そこで、このブログでも調べてみると奥が深い神話について触れていこうと思います。
今回は中国神話から生まれた「四神」についてご紹介します。

 

四神が今の姿を持つまで

『四神(しじん・ししん)』は、中国の神話に現れる霊獣です。
霊獣は中国の伝説の生物で、神と特別な関係にあったり、特殊な力を持っていたりする獣を指します。
四神の成り立ちは、中国の天文学がきっかけです。
当時の天文学では地球を中心とした大きな球体が存在し、そこに惑星や恒星が張り付き動いていると考えられていました。
この球体「天球」を赤道面を天球上まで伸ばした「天の赤道」に沿って、東方・南方・西方・北方の四つの大きな区画に分けます。

古代中国に生まれた『易(えき)』という占い方法には『八卦(はっけ)』と呼ばれる図象を使用します。
八卦は自然界を象徴しており、この八卦を生ずる前には『四象(ししょう)』と呼ばれる概念が存在します。
上記で分けた区画にこの四象を当てはめ、東方を「少陽(しょうよう)」、南方を「太陽(たいよう)」、西方を「少陰(しょういん)」、北方を「太陰(たいいん)」とします。
実体のない概念の四象に、実体を持たせたものが「四神」になったのです。

四神の姿は『二十八宿(にじゅうはっしゅく)』と呼ばれる、天球を天の赤道に沿って西から東に不均等に分割したものが元になります。
二十八宿にはそれぞれ「星官(せいかん)」と呼ばれる星座があり、これを四方に合わせて七宿ごとに分けます。
それぞれのエリアに分けられた七宿の星座を繋げた形が「龍」「鳥」「虎」「亀」に見立てられました。

この動物と中国の自然哲学である『五行思想(ごぎょうしそう)』の方角に当てはめられていると結びつき「青龍」「朱雀」「白虎」「玄武」となったといわれています。
※五行思想についてのブログはコチラ

 

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それぞれの四神の特徴

方角を司る四神は、五行思想に当てはめられている様々なものの象徴にもされています。

■青龍(せいりゅう)
青龍、五行:木、方角:東、色:緑(青)、季節:春
東を司るため「東方青龍」と呼ばれ、駱駝のような頭に角を生やし、鱗に覆われた蛇のように長い胴体と虎のような四肢を持った青い龍です。
名前の「青」は現在の青と同じ色ではなく、まだ色に定義が生まれる前の「緑色」のことを指します。

 

■朱雀(すざく)
朱雀、五行:火、方角:南、色:赤(朱)、季節:夏
翼を広げた大きな赤色(朱色)の鳥で、南を司る「南方朱雀」とも呼ばれます
別の霊獣である「鳳凰(ほうおう)」とよく混同されることが多いようです。

 

■白虎(びゃっこ)
白虎、五行:金、方角:西、色:白、季節:秋

西を司る「西方白虎」で、全身が白色の細長い体をした虎の形をしています。
虎は古代中国では百獣の王という扱いで、強さの象徴とされています。

 

■玄武(げんぶ)
玄武、五行:水、方角:北、色:黒(玄)、季節:冬

蛇の絡みついた足の長い亀の姿をしており「北方玄武」と呼ばれます。
元々は「玄冥(げんぶ)」と表記され、冥界を行き来する神と考えられていましたが、後に黒を表す「玄」と亀の特徴である「鱗と甲羅に守られて防御に長けている武神」という意味から「武」という表記に変わりました。
蛇が絡みつく姿の理由は諸説ありますが、古代中国では亀は雌しかいないため、頭の形が似た蛇とつがいになる必要があると考えられていたためといわれています。

 

四神を束ねる存在

方角を守る四神ですが五行思想に当てはめると一つ余りますよね。
実は五行思想においては四神の長ともいえる存在がいます。
それは『黄竜(こうりゅう)』と呼ばれる黄色(金色)の竜です。

古代中国では黄色は皇帝の色であり、高貴な色とされていました。
そのため、黄龍は四神を束ねる存在として扱われていたようです。
方角も周りを四方で囲んだ中心を司り、まさに長という感じがしますね。

また、黄竜に変わり「麒麟(きりん)」と呼ばれる霊獣を当てはめることもあります。
麒麟は良い政治をする王が生まれた時に現れるといわれているので、黄竜と同じような扱いとして考えられていたのではないでしょうか。

 

四神は神話の中でも割と有名なものだと個人的に思っています。
古くから日本でも広まっており、四神に因んだ建物や言葉などが残されていることが多いです。
みなさんはどの四神が好きでしょうか。

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