空と光とのコントラストでいろんな姿を見せる雄大な存在。雲たちの種類と特徴を知りたい。
新型コロナウイルスの影響もあって、人が少ない場所を選んで散歩したり家で過ごしたりすることが増えました。
そんなとき何気なく空を見上げると、漂っているのは雲。
大きさや色、形が非常に様々ですが、実は10種類に分類することができます。
本日は小学校の理科で習ったこともある、雲のことを紹介していこうと思います。
ふわふわと浮かぶ雲って何者?
『雲(くも)』とは「大気中の水蒸気がかたまってできた水滴や氷の粒がたくさん集まって浮かんでいるもの」のことです。
まずは雲がどうやってできるのかをみていきましょう。
雲へのプロセスは地表付近の空気から始まります。
太陽の光で地表付近の空気が温められると熱エネルギーが発生します。
熱エネルギーが発生すると空気を構成する分子の動きが活発になり体積が大きくなります。
これを『膨張(ぼうちょう)』といいます。
空気が膨張すると分子同士の密度が小さくなって軽くなるので上へと昇ります。
また山などの地形に沿って動いた時や冷たい空気と暖かい空気がぶつかった時、下降気流が発生した時も暖かい空気が上へと昇ります。
これらの空気の流れ、すなわち『上昇気流(じょうしょうきりゅう)』によって暖かい空気は大気へと上昇していきます。
気体には質量が存在するので地球の重力の影響を受けます。
これにより地球上のものには重力が作用した気体の圧力『気圧(きあつ)』がかかります。
地表付近と比べて高い所は、作用してくる気体の量が少なくなるので気圧が下がります。
空気は元々気圧によってある程度凝縮されていますが、大気は気圧が低いため移動してきた空気の凝縮が解け、膨張していきます。
この膨張は暖かい空気になるときの「膨張」とは違い、周りから熱を与えない状態で分子に無理やりエネルギーを使わせる『断熱膨張(だんねつぼうちょう)』というものです。
この現象は空気周辺の熱エネルギーを使用して膨張するので、気温が下がっていきます。
空気には水蒸気が含まれています。
大気中に含むことが出来る水蒸気の量を『飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)』といい、物理法則によって気温が高いほど多くなります。
暖かい空気は飽和水蒸気量が多いのですが、断熱膨張による気温の低下に伴って空気が冷やされていくと、飽和水蒸気量が少なくなっていきます。
飽和水蒸気量が少なくなると、そこに収まりきらなくなった水蒸気が空気中のちりにくっつき水滴へと変化していきます。
さらに上昇した空気中の水滴は、冷やされて氷の粒になります。
この氷の粒は太陽の光を散乱させることで白色に見えるようになります。
これが、私たちが普段空で見かける雲となるのです。
気象学で定めた10の雲の分類
私たちが雲と呼んでいるものは、形成される高度や条件によって形が変化します。
そこで世界気象機関が発行している『国際雲図帳(こくさいうんずちょう)』では、雲は形状によって10種類に分類されています。
繊維状の細い離ればなれの雲で、ハケで書いたように羽毛の形になることが多い雲です。
表面は絹のような光沢を持ってます。
すじ雲、はね雲、しらす雲とも呼ばれています。
陰影のない小さい白色の雲が群れをなして、鱗や波のように見える雲です。
高積雲と非常によく似ていますが、一つ一つ大きさが1度(腕を伸ばして立てた人差し指に隠れる大きさ)以下なのが特徴。
うろこ雲、いわし雲、さば雲とも呼ばれます。
薄く白いベール上の雲で、陰影が無く空の広い範囲を覆うことが多い雲。
その薄さから太陽の周りに輪ができる「日暈(ひがさ)」などの大気光学現象が発生しやすい雲です。
うす雲とも呼ばれます。
白色や灰色で陰影を持つ小さな塊が群れをなして斑状や帯状を形づくる雲です。
巻積雲よりも塊が大きく1~5度ぐらいの大きさになります。
まだら雲、ひつじ雲、むら雲とも呼ばれます。
灰色の層状で空の広範囲を覆うことが多い雲。
太陽はぼんやりと存在が分かる程度にしか見えません。
おぼろ雲とも呼ばれます。
全体的に色や厚さのムラが少なく、空の全体を覆う雲。
雨や雪を降らせることが多い雲です。
雨雲、雪雲とも呼ばれます。
白色や灰色の大きな塊が群れをなして層状、斑状、ロール状となる雲です。
曇り空にはなりますが、雨を降らせることは少ない雲です。
うね雲、まだら雲、くもり雲、むら雲とも呼ばれます。
もっとも低い所で見られる灰色の層状の雲です。
霧をもたらす代表格の雲で、霧雲とも呼ばれます。
晴れた日に発生する垂直方向に大きくなった雲。
底部分は水平で上部は綿菓子のような形をしています。
綿雲とも呼ばれます。
強い上昇気流で垂直方向に著しく発達し、山のように巨大な雲です。
雷雲、入道雲とも呼ばれます。
真っ青な空も美しいですが、雲が空を彩るとまた違った表情をみせてくれます。
時には自然からの脅威になる雲ですが、その雄大さの前ではそれすら美しいと感じられます。
たまにはのんびり空を見上げて雲に想いを馳せ、穏やかな時間を過ごしていきたいものです。
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