日々形を変える不思議。月の変化の仕組みと利用。
秋に入り夜の空気が澄んでくる今頃、夜空に浮かぶ月が美しく見えるようになります。
2023年は9月29日が「中秋の名月」の日で、満月になるとのことです。
さて、月は日によってその姿を変えますが、その仕組みは理科の授業で習っているかと思います。
お月見が始まる前に、ここで一つおさらいしてみませんか。
今回は「月の変化の仕組み」やそれを利用した指標をについてご紹介します。
月の満ち欠け
まんまるとした満月が半月や三日月になり、そしてどこにも月が見えない日が来る。
日々少しずつ月の形は変化しており、人はその様を「月の満ち欠け」と呼びます。
神秘的な呼び方の仕組みは、一体どのようなものなのでしょうか。
『月(つき)』は、地球に唯一存在する安定した『衛星(えいせい)』です。
地球と同じように自分自身が回転する『自転(じてん)』を行いながら、一定の周期で地球の周りを回る『公転(こうてん)』を行っています。
天文学では天体の北極点と南極点を結んだ『地軸(ちじく)』を自転の軸として考えます。
地球の地軸の北極側を延長した位置を『天の北極(てんのほっきょく)』といい、月はこの位置から見て反時計回りに地球を公転します。
その軌道は円に近い楕円形で、約27.32日間で1回転します。
この「公転」が月の満ち欠けに重要な要素の一つです。
もう一つ重要なのは「月の輝き」。
私たちが夜に見えている月は、実は自らが発光しているわけではありません。
巨大な光源である太陽の光を反射することにより、月は輝いて見えるのです。
逆に言えば、太陽の光が当たっていない部分は、私たちには見えません。
太陽の光を反射しながら、地球を公転する月。
つまり『地球から見た月が太陽に対して、どの方向にあるかによって見え方が変わる』のが月の満ち欠けの正体なのです。
分かりやすいように図解してみましょう。
例えば、地球から見て月が太陽と同じ方向にあると、太陽の光が当たっていない部分が地球側に向いています。
そのため、月は地球からは見えなくなり『新月(しんげつ)』になります。
次に地球を中心にして、月を公転方向に90度動かします。
すると地球から見た月は、右側半分に光が当たります。
私たちは光が当たっている部分しか見えないので、月は右側半分のいわゆる『半月(はんげつ)』に見えます。
さらに90度動かして月が太陽の反対側に来ると、月全体に光が当たるようになります。
そうすると私たちは月全体が見えている状態になり『満月(まんげつ)』に見えるのです。
さて、日本で月の満ち欠けの動きを見てみると、必ず右側から満ち、右側から欠けていきますよね。
これは月の公転が一定方向にしか進まないためです。
公転と同じように満月の状態から、また90度動かしてみます。
すると先ほどの半月とは違い、今度は左側半分に光が当たるので、左側半分の「半月」になります。
そしてさらに90度動くと月は元の位置まで戻り、また「新月」になるのです。
地球の自転周期は約1日で、太陽の光が当たっている間は昼、当たっていない間は夜になります。
月が地球を一周公転する間、地球は約27.32回自転していることになります。
そのため、毎晩夜空を見上げると月の位置と形が常に変化し続け、月の満ち欠けとなるのです。
ところで月の形は変わりますが、月の模様はほとんど変化がありません。
月も自転をしているのになぜなのでしょうか。
月の地軸は地球の公転面に対して、わずか5.14度しか傾いていません。
加えて、月の自転周期は公転周期とほぼ同じです。
そのため、月が自転する間に同じだけ公転しているので、常に同じ面を地球に向け続けている状態になるのです。
月の見え方を用いた月齢と月相
月は形の変化が明確であり、ほぼ同じです。
そのため、かつては1ヶ月を定める暦として使用されていました。
この時に使われていたのが『月齢(げつれい)』という、日単位で表した数値です。
地球の中心から見て、太陽と月が同じ方向にある瞬間、つまり「新月」を『月齢0』とし『朔(さく)』と呼びます。
日本の旧暦では「朔」を含む日を月初とし、一日経つごとに1ずつ月齢を増加します。
そして次の朔までの期間を1ヶ月としていました。
さて、現在のカレンダーにも月齢が記載されていることがありますが、その数字は整数ではなく小数まで書かれています。
これは、日の月齢は「その日の正午の月齢」で表すのが一般的なためです。
例えば、ある月の朔が「15日の22時」になったとします。
月齢の増加は朔の瞬間が基準になるので「月齢1」は「16日の22時」、「月齢2」は「17日の22時」になります。
一方、16日の月齢を表そうとすると「16日の正午の月齢」になります。
24時間を「1」とすると、正午の月齢を算出するときに端数が発生します。
朔の「15日の22時」から「16日の正午」までは「14時間」経過しているので、端数は以下の計算式になります。
14時間 ÷ 24時間 = 0.5833・・・
小数第二位以下は四捨五入するので、「16日の正午の月齢」は「0.6」になります。
以降は正午の月齢は1ずつ増加するので、「17日の月齢」だと「1.6」となるのです。
月齢は新月からの経過日数を表す時間概念ですが、それとは別に月の満ち欠けの様子を表したものが『月相(げっそう)』です。
月相は周期的に動く月が、地球や太陽に対してどこにいるのかを示しているものです。
天文学では天体の位置を表すために地球を基点と考えることが多いです。
地球から見た月と太陽が作る角度を『黄経(こうけい)』という基準にします。
そして、地球・月・太陽が一直線に並んだ状態を「0度」として公転方向に360度回転するまでの様相を月相とするのです。
月相においては角度によって特定の名称があり、0度は月齢と同じく『朔』、90度を『上弦(じょうげん)』、180度を『望(ぼう)』、270度を『下弦(かげん)』と呼びます。
そして0度から360度まで1周する周期を『朔望月(さくぼうげつ)』といいます。
この朔望月は月の公転周期とは同一にならず、少し長い約29.53日です。
これは地球が太陽に対して公転している分、起点の0度までに月が多く公転しなければならないためです。
月相は月齢の周期とおおよそ連動します。
日本では相互の状況を関連付けるために、月相の360度を朔望月に近い28に分割して表すことがあります。
この場合、朔は「0」、上弦は「7」、望は「14」、下弦は「21」になります。
月は毎日少しずつ、様々な姿を私たちに見せてくれます。
また、周期的な動きは暦として用いられ、見た目を楽しむだけでなく、時も示してくれます。
中秋の名月だけでなく、日々の月も楽しんでみてはいかがでしょうか。
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