満月で季節を把握する。毎月変わる満月の名前。
現在の暦法が成立するより遥か昔のこと。
時間や方向を知る道具が無い時代でも、人間は安定した生活をするために自然現象を農業や狩猟の目安にしていました。
やがて共通認識にするために名前が付けられ、それは暦法が成立した今でも暦を表す言葉として残り続けています。
さて、その中の一つに「毎月の満月」に名前が付いているのはご存じでしょうか。
日本では見られないものですが、最近では天気予報などで取り上げられ、一部の名前を知っている方もいると思います。
今回は満月の名前についてご紹介します。
満月の名前は1ヶ月の目安
年・月・週・日を使った『グレゴリオ暦(ぐれごりおれき)』は、現在世界各地で使われる一般的な暦法です。
しかしグレゴリオ暦は1582年から使われたもの。
それ以前は各々が独自の方法で暦を表していました。
遥か昔まで遡ると暦を知る道具も無いため、代わりに太陽や星の動き、月の満ち欠けで1ヶ月や1年を認識していたのです。
そんな中、アメリカの先住民族である『ネイティブ・アメリカン』は「満月を12回見ると季節が一回りする」と考え、毎月の満月に名前を付けて季節を把握していました。
確かに月の公転周期が約30日であり、地球の公転周期が約365日です。
多少の誤差は出るものの12ヶ月と同じになるので、ざっくりと1年を把握することができます。
生息している動植物や文化によって地域ごとに違ったり、後にヨーロッパから渡米した入植者たちが加えたりしたので、同じ月の満月でも複数の名前を持ちます。
満月の名前は現在まで伝わり続け、アメリカの農事暦の「Farmer’s Almanac」などにも記載されています。
各月の満月の名前
アメリカの自然現象に則って名づけられた満月の名前は、日本の感性とは違った趣を感じられます。
名前の由来と一緒に各月の満月の名前を見ていきましょう。
真冬の1月は雪が降るようになり、少しずつ植物や動物が姿を消していきます。
そうすると獲物を見つけられず「お腹を空かせたオオカミが食糧不足を嘆いて遠吠えをしている」姿が見られるので、こう名付けられました。
あるいは、1月はオオカミの繁殖期にあたり、活発に行動しだします。
群れの仲間との連絡や狩りの連携で遠吠えを行うこともあるので「頻繁にオオカミの遠吠えが聞こえる」ことから由来するともいわれています。
「1年で最も雪が多い頃の満月」であることが分かる名前です。
また、厳しい寒さと気象が続くため、農業だけでなく狩猟も困難になります。
食料が手に入りにくくなり、下手をすれば備蓄も底を尽きる。
そんな自然の厳しさで「飢餓や空腹に苦しむこと」由来し「Hunger Moon(ハンガームーン)」と呼ぶこともあります。
気温が上がり始め、凍った大地の地表も溶け始めます。
その地面から「ミミズなどの虫が顔を出し、這った跡が見られる」様子を表した名前です。
また、メープルシロップの原料にもなる「サトウカエデの樹液を採取し始める月」でもあるので「Sap Moon(サップムーン)」とも呼ばれます。
植物が芽吹いていく中、アメリカではどの花よりも早く「フロックス」と呼ばれる種類の野花が咲きます。
クサキョウチクトウやシバザクラなどは、春の一番初めに咲くと言われている花です。
そのため「ピンク色の花が咲く頃の満月」として親しまれています。
春の暖かさを感じる5月は、どの地域も様々な花が咲き乱れます。
まさに「花が咲く頃の満月」に相応しい名前ですね。
また気候も安定してきたので、農業を始める時期です。
主食の「トウモロコシの種蒔きを行う月」でもあるので「Corn Planting Moon(コーンプランティングムーン)」という名前もあります。
一時期は「苺のように真っ赤に見える満月」と勘違いされていましたが、実際は色とは関係ありません。
北米ではこの時期になると、苺の収穫が最盛期を迎えるのです。
なので「苺が熟す時期に昇る満月」を指して呼ばれています。
それとは別にヨーロッパでは「薔薇の咲く時期」であるため「Rose Moon(ローズムーン)」と呼ばれるそうです。
アメリカに生息している鹿の雄は、7月になると角が抜け落ちて生え変わります。
そのため「雄の鹿の新しい角が生えてくる頃」を指して名づけられました。
また、夏の天気が不安定になり「雷雨が頻繁に発生する」ため「Thunder Moon(サンダームーン)」とも呼ばれます。
8月は、アメリカにある湖群「五大湖(ごだいこ)」などの水域でチョウザメ漁が最盛期になります。
キャビアとして有名なチョウザメは、実は白身魚として長年食されているのです。
そんな「チョウザメが成熟し、豊漁となる頃」を指した名前です。
また「成熟する間近の青いトウモロコシが見られる」月でもあるため「Green Corn Moon(グリーンコーンムーン)」とも呼ばれます。
世界三大穀物の一つであり、アメリカで主食として食べられるトウモロコシ。
「トウモロコシの収穫が最盛期を迎える時期」に見える満月が9月です。
また、トウモロコシ以外の農作物も収穫のピークを迎える月でもあります。
そのため「収穫の月」という名称で「Harvest Moon(ハーベストムーン)」とも呼ばれます。
ただし現在は、秋分に最も近いタイミングで見える満月である「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」を指していることがあります。
その場合、秋分の日付と満月になる日は毎年異なるので、10月になることもあります。
農作物の収穫が終わる頃には、そろそろ冬に向けて食肉の備蓄を始めます。
畑の刈取りも終わり、野原の植物も枯れるので、動物が身を隠す場所が無く見つけやすくなります。
月が高く明るくなって夜遅くまで狩りができるので、まさに「狩猟をするに相応しい頃の満月」として名づけられています。
食料の備蓄が進む中、もう一つ必要になってくるのは寒さを凌ぐ術。
身体を温めてくれる毛皮が重要になる中、うってつけなのが保温性が高い毛皮を持つビーバー。
そんな「ビーバーを捕獲するための罠を仕掛ける」月を表す満月です。
また「ビーバーが越冬のためにダム作りを始める」月から由来したされることもあります。
本格的に冬が始まる12月。
「寒さが強くなる月の満月」という意味通りの名前が付けられます。
また、1年で最も夜が長い冬至を迎えることもあり「夜が長くなる頃の満月」という意味で「Long Nights Moon(ロングナイトムーン)」とも呼ばれます。
日本とは生息している生物も文化も異なりますが、共通して自然に寄り添った名前が付けられていますね。
また、満月の名前から当時の人々がどんな生活をしていたのかも想像できます。
自然に対しての名づけは、人間が自然と共存するために必要なものなのかもしれませんね。
皆さんも普段とは一味違った感性で暦を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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