長生きの節目に感謝とお祝いを。長寿祝いの種類と成り立ち。
環境や医療の発達により、人間は昔よりもだいぶ長く生きられるようになりました。
国際的にみて長寿大国といわれている日本では、男性だと110歳、女性だと117歳のご存命のかたがいらっしゃるとか。
日本は古来より長生きをした方へのお祝いを節目に行います。
いつ頃に行うかを何となく知っているかたも多いのではないでしょうか。
ここでは「長寿祝い」の種類と由来をご紹介しようと思います。
長生きを祝う通過儀礼
『長寿祝い』とは、本来は『賀の祝い(がのいわい)』というもので、ある一定の年齢になったことをお祝いする風習です。
『賀寿(がじゅ)』や『年祝(としいわい)』と呼ぶこともあります。
この風習は奈良時代に中国から伝わったものが始まりとされています。
以降は10年ごとに「五十賀(ごじゅうのが)」、「六十賀(ろくじゅうのが)」と続きます。
当時は今に比べて短命の人が多いといわれているため「長く生きている」ということ自体がとてもありがたいことだったのかもしれません。
その後、室町時代末頃から四十賀や五十賀のお祝いをしなくなり、代わりにさらに長生きしたお祝いを行うのが一般的になりました。
それぞれの長寿祝い
長寿祝いには、どのようなものがあるのでしょうか。
順番に行われる年齢とテーマカラーなどをご紹介していきます。
現在だと「満年齢(生まれた日を「0歳」から数え始め、以後1年間の満了ごとに1歳ずつ加えていく考え方)」でお祝いされることが多いようですが、ここでは数え年でご紹介します。
江戸時代に誕生したお祝いで当時は『干支(かんし)』と呼ばれる暦法が使用されていました。
干支は「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」で組み合わされており「十干十二支(じっかんじゅうにし)」とも呼ばれています。
この干支は、十干と十二支の最小公倍数である60年で一巡するので、61年目は「誕生した年の干支に還る」ことから「歴が還る」という意味で『還暦』と名付けられました。
また「生まれた年の干支」を「本卦(ほんけ)」と呼ぶことから『本卦還り(ほんけがえり)』と表現されることもあります。
他にも還暦のことを『華甲(かこう)』と呼ぶこともあるそうです。
これは「華」という漢字が6つの「十」と1つの「一」を読めることと、干支の最初の十干が「甲(きのえ)」から成り立っていることに由来しています。
そして、還暦祝いに欠かせないのがテーマカラーの「赤色」の衣服。
「歴に還る=生まれた年に還る」ことなので出生時、すなわち赤ちゃんに還るという意味があります。
赤ちゃんへの魔除けに赤色の産着を使用していたため、同じように厄除けをこめて赤色の頭巾やちゃんちゃんこなどの衣服を送るようになりました。
2002年の日本百貨店協会によって提唱された、他のお祝いに比べて新しい長寿祝いです。
まだまだ現役である還暦に「長寿のお祝い」をされることに抵抗感がある人が増えてきたため、還暦から古希までの間に訪れる節目の長寿祝いとして考えられました。
今では定年退職祝いと一緒に行うことも多いようです。
名前は『緑緑寿』を略したもので「緑緑=66」の語呂にかけられています。
テーマカラーの「緑」は、提唱時の21世紀が「環境の世紀」といわれており、それに基づいたものです。
中国・唐の詩人「杜甫(とほ)」の詩「曲江(きょっこう)」の中の一節で「人生七十古来稀」という記述があります。
これは「人生70歳まで生きられるのはめったにない」という意味で、当時は意味の通り70歳になるのは珍しい事だったことから『古稀』と名付けられました。
テーマカラーである「紫」は平安時代「気品や風格を示し、高位を表す色」とされていました。
古希が誕生するきっかけになった天皇一族の「藤原貞子(ふじわらのさだこ)」がこの紫の衣装を着用していたため、そのままテーマカラーになったといわれています。
平安時代に使用されていた草書体という書体があります。
「喜」という文字をこの草書体で「㐂」と書きますが、実際に筆で書かれたときには「七十七」に見えることから名づけられたそうです。
テーマカラーは古希と同じ「紫」。
77歳を祝うのは日本独自の文化で行う理由としては諸説ありますが「77歳が厄年であることから厄払いをするため」だったり「同じ数字が並ぶ歳がめでたいのでそのお祝い」といわれていたりします。
こちらは「傘」という字を略字で「仐」と書き、その文字が「八十」に見えることから名づけられました。
テーマカラーは諸説あって、古希と喜寿と同じ「紫色」とするところと、米寿と同じ「濃い黄色(金色・金茶色など)」とすることがあります。
名前は「半」という字が「八十一」と見えることから由来しています。
将棋界では、将棋盤のマス目が9×9の81マスであることから「盤寿(ばんじゅ)」とも呼ばれるんだとか。
テーマカラーは「濃い黄色(金色・金茶色など)」です。
「米」という字が「八十八」で成り立っているように見えることから由来。
「八」という字が末広がりで縁起が良いとされ、その字が2つもあることからおめでたく縁起の良い歳としてお祝いされました。
テーマカラーは名前の稲穂の色に合わせて「濃い黄色(金色・金茶色など)」になります。
「卒」の略字は「卆」と書かれます。
その見た目でも分かるように文字自体が「九十」という意味を表しています。
テーマカラーは古希と同じ「紫」の場合と百寿と同じ「白」の場合があります。
漢字の「百」から上部の「一」をとると「白」になることから、白寿となりました。
年齢の3桁まであと1年ですね。
テーマカラーは名前の通り「白」になります。
年齢もついに3桁となり、ここまでくると本当に長寿といってもいいのかもしれません。
100年が1世紀と数えられることから「紀寿(きじゅ)」とも呼ばれます。
テーマカラーは「白」とされていますが「ももじゅ」という読み方から「桃色」を用いることもあるようです。
100歳以降も毎年「上寿(じょうじゅ)」のお祝いとなり、以降の節目には108歳の「茶寿(ちゃじゅ)」、111歳の「皇寿(こうじゅ)」、119歳の「頑寿(がんじゅ)」、120歳の「大還暦(だいかんれき)」、250歳の「天寿(てんじゅ)」と続きます。
生きているものには、遅かれ早かれ必ず終わりがくるもの。
その終わりまで長く生きていられることは、それだけでありがたくおめでたいことなのだと思います。
私の両親も先日古希を迎えましたが、まだまだ元気なご様子。
長い人生で「あのとき祝ってもらって嬉しかったな」というような思い出になるように、少しでも多く祝福したいものですね。
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