日付や時間、方角などにも使われていた数字の元祖。陰陽五行思想に繋がった十干十二支。

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世界では様々な数字が使われています。
私たちが日付を表すのに主に使用するのは「アラビア数字」ですが、昔の日本では別のもので日付を表していたようです。
当社のブログでも度々紹介している「十干十二支」がそれにあたります。
歴史や文学が好きな人は割と知っている十干十二支ですが、いったいどのようなものなのでしょうか。
今回は「十干十二支」の成り立ちと、過去にどのように使われていたのかをご紹介しようと思います。

 

十干十二支ってそもそもなに?

『十干十二支(じっかんじゅうにし)』とは、本来『干支(かんし)』と呼ばれ、古代中国で生まれた暦を表すための言葉です。
「干支」「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10種類からなる『十干(じっかん)』「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類からなる『十二支(じゅうにし)』を組み合わせたものです。
それぞれはどのようなものなのでしょうか。

■十干
古代中国では「太陽は10個存在しており、それが毎日交代して10日で一巡する」と考えられていました。
その10個の太陽それぞれにつけられた名前が「十干」です。
十干につけられた名前は植物が生長していく状況を示したものと言われています。

十干音読み意味
こう甲羅の様に硬い殻に覆われた種
おつ、いつ種から出た目が地上に出るために曲がりくねる様
へい芽が地上に出て、葉が張り出して広がった状態
てい植物が一定の大きさまで生長してきた状態
植物の生長が絶頂期であること
植物が十分に生長し形が整っている様
こう植物の生長が止まり、新たな形に変化しようとする状態
しん植物が枯れ、新しい世代が生まれようとする状態
じん植物の内部に種が生まれた状態
植物の内部にできた種が大きさを測れるまで大きくなる状態

 

ちなみに十干が一巡する10日間を当時は「一旬(いちじゅん)」と呼び「上旬(じょうじゅん)」「中旬(ちゅうじゅん)」「下旬(げじゅん)」の三つを繰り返して1か月としていました。
現在でも10日をこの区切りで呼ぶのは、その時の名残りです。

■十二支
「十二支」は天文学から生まれた言葉で、古来中国において最も尊い惑星と考えられていた「木星」は、約12年で地球を一周します。
そこから天球を12等分する天球分割法の「十二辰(じゅうにしん)」というものが考案され、各辰の名称に当てられた名前が「十二支」です。
その後「12」という数字が1年の月数と同じなため、旧暦の暦法上十二支が切り替わる「冬至」を含んでいる「11月」から順に当てられ、月を表す言葉としても使用されるようになりました。

十二支音読み訓読み
11月
ちゅううし12月
いんとら1月
ぼう2月
しんたつ3月
4月
うま5月
ひつじ6月
しんさる7月
ゆうとり8月
じゅついぬ9月
がい10月

 

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十干十二支と陰陽五行思想の関係

「十干十二支」を語るうえでもう一つ重要になるのが『陰陽五行思想(いんようごぎょうしそう)』と呼ばれるものです。
中国には『陰陽思想(いんようしそう)』『五行思想(ごぎょうしそう)』と呼ばれる考え方がありました。
「陰陽思想」は、宇宙のありとあらゆる事象は「陰(いん)」「陽(よう)」という対立する二つに分類することができるという考え方です。
「五行思想」は、万物は互いに影響しあう「木(もく)」「火(か)」「土(ど)」「金(ごん)」「水(すい)」の5種類の元素からなるという考え方です。

後にこの両方の思想が結合し、五行それぞれに陰と陽を配して生まれたのが「陰陽五行思想」です。
「十干」は「陽」と「陰」を基準に配されます。
陰陽五行思想で、陽を「兄(え)」、陰を「弟(と)」とし、「木」から順に「甲」から配します。
この組み合わせの訓読みが、現在も使われている十干の読み方になります。

五行十干陰陽(兄弟)訓読み
木の兄きのえ
木の弟きのと
火の兄ひのえ
火の弟ひのと
土の兄つちのえ
土の弟つちのと
金の兄かのえ
金の弟かのと
水の兄みずのえ
水の弟みずのと

 

これに対し「十二支」は五行における季節で配します。
五行では春が「木」、夏が「火」、秋が「金」、冬は「水」となり、「土」は四季それぞれの最後の月(土用の月)になります。
この五行に旧暦の暦月に当てられた十二支を配します。
陰陽は「子」から数えて奇数番目は「陽」、偶数番目は「陰」になります。

季節十二支五行陰陽
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月

 

<十干十二支を陰陽五行思想に当てはめたイメージ図>

十干と十二支を組み合わせるときは必ず「陽と陽」または「陰と陰」になるため、組み合わせは60通りになります。
例えば十二支の「子」だと、同じ「陽」である「甲」「丙」「戊」「庚」「壬」の十干と組み合わされます。

この組み合わせを長い期間の年・月・日を表すのに使用するようになったのが「十干十二支」です。
また、十二支に関しては方角時間の表示にも使われるようになりました。


十干十二支で表した言葉は現代でも残っており、生まれた年の干支までの60年を一巡したお祝いの「還暦」、お昼の時間を表す「正午」、ウナギを食べたりする「土用の丑の日」、旧幕府軍と新政府軍が対立した歴史上のできごと「戊辰戦争」などがあります。

 

日本で残った考え方十二支

「十二支」といえば、動物が当てはめられたものという印象がほとんどではないでしょうか。
当初は順序を表す記号で動物とは無関係でしたが、人々が暦を覚えやすくするために、後になって身近な動物の名前を当てはめたという説があるそうです。
この当てはめた動物のことを「十二生肖(じゅうにせいしょう)」といいます。

やがて干支や陰陽五行思想の考え方は時代の流れで薄れていきますが、十二支に関しては動物が当てはめられていたこともあってイメージがしやすく、その考え方が現代まで残ったといわれています。
「干支」「えと」と読むのは、前述の陰陽五行思想における「兄(え)」「弟(と)」から由来しており、現代まで残った十二支単体を「干支(えと)」と呼ぶようになりました。

 

今では使われることがほとんどない十干十二支ですが、その名残は現代でも確かに存在します。
特に日本の歴史の中で生まれた風習や思想を知る上では欠かせないものです。
様々な事柄の中で出てくるため、知識として覚えておくと話が繋がってより理解が深まります。
今後使える豆知識として、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

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