見上げた十二星座にまつわる物語～蟹座～

6月も本日で終わりですが、いつもはまだ梅雨の最中なのに、今年は既に梅雨明けしてしまいましたね。
少し水不足が心配ですが、星座の観測には丁度良いのかもしれません。
せっかくなので、皆さんも十二星座を探してみませんか。
今回ご紹介するのは「蟹座」です。
見え方や恒星の名前、神話についても併せてご紹介しますね。

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2022.01.12

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かに座/蟹座/Cancer/カンケル（キャンサー）
基準誕生日期間：6/22～7/22

『二つのハサミが特徴的な蟹』をモチーフにしているのが今回紹介するかに座です。
明るい恒星が少ないため、見つけるのは少し難しい星座ですが、有名な星団も含まれている十二星座の一つです。
かに座は春の星座ですが冬の星座にかなり近いところに配置されているので、冬の間から観測することができます。
一番良く見える時期は、3月の下旬20時頃になります。

かに座の星図

かに座は、そのほとんどが4等星よりも暗い星なので、環境や視力などの条件が無いとなかなか見つけることができません。
そこで見つけるカギとなるのは、先月紹介した『ふたご座』と来月紹介する『しし座』です。
ふたご座としし座には1等星があるので見つけやすく、かに座は2つの星座の間に位置しています。
かに座が南の空で見えているとすると、ふたご座は南西に、しし座は南東に見つけることができます。

星座自体は見つけにくいかに座ですが、月が無い夜に観測すると、中央の四角に囲まれた部分にぼんやりともやを見つけることができます。
このもやは有名な散開星団の一つである『プレセペ星団』で、等級の低いものを合わせても200個以上の星の集団であることが確認されています。
名前の「プレセペ」はラテン語で『飼い葉桶（かいばおけ）』という意味で、それを挟んだγ星とδ星をロバに見立てて、飼い葉桶の餌を食べている姿に見立てられたことに由来します。

かに座にある11個の恒星には固有名詞が名付けられています。

かに座にまつわる神話

かに座は『ヘーラクレースと戦った化け蟹』の姿を表したものとされています。
この蟹が登場するのは、ヘーラクレースが行った十二の功業の一つ「怪物ヒュドラ―退治」です。
アルゴリス地方のレルネーの沼地に9つの首を持った巨大な大蛇の怪物『ヒュドラ―』が住んでいました。
ヒュドラ―は恐ろしい猛毒を吐き、人里を荒らしていたため、アルゴス地方の古代都市「ミュケーナイ」の王「エウリュステウス」は『ヘーラクレース』に退治するように命令しました。

ヒュドラ―は中央の首は不死であり、残りの8つの頭は切られるとすぐに新しく2つの首が生えてくるほど生命力の高い怪物でした。
そのため、ヒュドラ―とヘーラクレースの戦いは壮絶なものとなります。
この戦いの最中、ヘーラクレースを亡き者にするために画策したのが女神『ヘーラー』でした。
ヘーラクレースはヘーラーの夫である大伸『ゼウス』と愛人『アルクメーネー』との間にできた子供だった為、ヘーラーは嫉妬してヘーラクレースの死を願っていたのです。

そんなヘーラーが目を付けたのが、ヒュドラ―の友人である『巨大な蟹』だったのです。
ヘーラーはこの蟹にヒュドラ―を助けるようにそそのかします。

蟹はヒュドラ―に加勢するために、ヘーラクレースの足をハサミで挟みました。
しかし、強靭な身体を持つヘーラクレースにハサミは通用しませんでした。
怒ったヘーラクレースは蟹を踏み潰してしまうのでした。

ヘーラーは自らがそそのかしたものの、勇敢にもヘーラクレースに立ち向かった蟹を哀れみました。
そしてその勇気を称えて、星座へと召し上げたのでした。

一見すると目立たない存在のかに座ですが、その裏には勇敢に戦おうとする姿が隠れていましたね。
颯爽と立ち向かおうとする姿は見習いたいものですね。
次回は、今回神話に登場したヘーラクレースと関わり合いがあるしし座をご紹介します。