どちらの呼吸法にもメリットがある。目的によって違う胸式呼吸と腹式呼吸の違い。
人間は呼吸ができないと生きていけません。
生物学において『呼吸』とは「身体に酸素を取り込んで有機物を分解し、エネルギーを取り出すこと」を指します。
生命活動として必要な呼吸はその方法がいくつかに分類されています。
よく耳にするのは「胸式呼吸」と「腹式呼吸」。
名称で何となくどんな呼吸法なのかが推測できますが、実際はどのように違うのでしょうか。
今回は二つの呼吸法の違いについてご紹介します。
胸式呼吸と腹式呼吸の違いをチェック
「人間は呼吸によって肺に酸素を送り込んでいます。」
このように聞くと、人間が呼吸するときは「単純に肺自体が膨らんだりしぼんだりしている」と想像してしまうのではないでしょうか。
しかし肺には筋肉が無いため自力で動くことができません。
肺を動かすには肺の周りを覆う『胸郭(きょうかく)』と呼ばれる部分を活用します。
胸郭は胸骨など胸全体の骨とそれらに付着する筋肉を総じて指します。
この胸郭のどの部分を使うかによって呼吸の方法、すなわち「呼吸法」が変わります。
一般的な呼吸法には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」があります。
■胸式呼吸
『胸式呼吸(きょうしきこきゅう)』とは、胸骨に付着している『肋間筋(ろっかんきん)』を主に使用して行う呼吸法です。
「肋間筋」には『外肋間筋(がいろっかんきん)』と『内肋間筋(ないろっかんきん)』があります。
「外肋間筋」が収縮することで胸郭が前上方に持ち上がり、肺が横に伸ばされて息を吸うことが出来ます。
逆に息を吐くときは「内肋間筋」が収縮し胸郭を縮めて空気を押し出します。
胸式呼吸は主に胸の上部が持ち上がるため、自然と肩甲骨や肩の筋肉も持ち上がります。
■腹式呼吸
『腹式呼吸(ふくしきこきゅう)』とは、胸郭の下部にある『横隔膜(おうかくまく)』を主に使用して行う呼吸法です。
「横隔膜」は収縮すると下部に下がり、それに合わせて肺が下に伸ばされて息を吸うことが出来ます。
「横隔膜」が弛緩すると上部に上がるため、胸郭が狭まり息を吐きだします。
腹式呼吸は横隔膜が動くことで腹部の内臓や筋肉に働きかけるため、お腹が前方に突き出ます。
一般的に女性は「胸式呼吸」、男性は「腹式呼吸」が多いといわれていますが、実際は日常生活においてこの両方の呼吸を使い分けたり、組み合わせています。
働きが全く違う、それぞれの呼吸法の特徴
胸が動く「胸式呼吸」とお腹が動く「腹式呼吸」、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか。
■胸式呼吸
胸骨の筋肉を動かして行う胸式呼吸は、腹式呼吸に比べて一度の呼吸量が少なくなる代わりに素早く呼吸を行えます。
酸素を素早く取り込むと身体能力の向上や回復を促すことが出来ます。
また、胸式呼吸は自律神経の「交感神経」が働きます。
交感神経が働くと身体に適度な緊張感が生じ、心拍数が上がります。
さらに筋肉の動きを活発化させ、鍛えることができます。
そのため胸式呼吸は、エクササイズやスポーツなどの運動や、意識的に頭をすっきりさせたいときに有効です。
■腹式呼吸
胸の上部を使用する胸式呼吸に対して、腹式呼吸は腹部も使用するため胸式呼吸に比べて肺が広がりやすくなります。
肺が広がりやすくなる分、呼吸の速度が遅い代わりに一度の呼吸量が多くなります。
横隔膜と腹筋を使用して息の吐く量を調節しやすいのも特徴の一つです。
また、腹式呼吸は自律神経の「副交感神経」が働きます。
副交感神経が働くと身体の緊張感を緩めるので、気持ちが落ち着いてきます。
そのため腹式呼吸は、息の量を調節する必要がある歌を歌うときや、ヨガや瞑想などリラックスしたいときに適しているといわれています。
どちらの呼吸法にもそれぞれにメリットがあるので、一概にどちらがいいとは言い切れません。
それよりも自分の目的に合わせた呼吸法を行うことが大切です。
また呼吸方法を意識的に変えることにより、自ら自律神経に働きかけることができます。
例えば緊張して落ち着きたいときには腹式呼吸を、仕事に集中するときには胸式呼吸を行ってみるのも良いのではないでしょうか。
意識したことが無かった方もぜひ試してみてくださいね。
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