湿気と暑さのダブルパンチに要注意。夏に向けて考えよう熱中症対策。
毎日太陽からの日光と少しの湿気で、なんだか蒸し暑い日が続きますね。
日本の夏は気温だけでなく湿度も高くなり、快適に過ごすのは難しいですよね。
そんな中、毎年この時期になると注意したいのが「熱中症」です。
私たちにはどのような対策ができるのでしょうか。
今回は「熱中症」についてご紹介します。
高齢者を脅かす熱中症
『熱中症(ねっちゅうしょう)』とは「体内の水分やナトリウムが失われたり、体温調節機能が働かなくなったりして、体内の熱がこもることで様々な症状を引き起こす状態」を指します。
軽度だと「めまい」や「立ちくらみ」などですが、そのうち「吐き気」「頭痛」を伴ったり、重度になると「全身の痙攣」や意識が無くなる「意識障害」が見られるようになります。
重度にもなると緊急搬送が必要になり、時には死に至らしめることがあります。
厚生労働省から発表されている「熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)より」を見てみると、2019年に熱中症で亡くなった人は「1,224人」でした。
このうち一般的に高齢者といわれる65歳以上の死亡者数は「1,000人」で、なんと全体の81.7%にもなります。
※「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和元年) 」(厚生労働省)を加工して作成
死亡人数もさることながら、熱中症で救急搬送される人数も相当なものになります。
今度は総務省消防庁から発表されている「令和元年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」をみてみると、熱中症のリスクが高くなる5月~9月の救急搬送人員は「71,317人」に上ります。
年齢別にみてみると、高齢者の搬送人員は「37,091人」、搬送人員の半数以上が高齢者という結果になります。
※「令和元年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況 」(総務省消防庁)を加工して作成
なぜ高齢者に熱中症が多くなるのか
熱中症になる原因は大きく分けて3つあります。
■環境
当然単純に気温が高かったり、日差しが強かったりすると熱中症のリスクは高くなります。
通常は体温が上がれば人間の体温調整機能で汗を蒸発させたり、皮膚温度を冷やして体温を調整しようとします。
しかし湿度が高いと汗が蒸発できず、風が弱いと皮膚温度がなかなか下がらなくなります。
■からだ
身体能力が低下している場合、体温調整機能が悪くなるので熱中症のリスクが上がります。
また水分不足や下痢などで脱水状態になっていたり、二日酔いや寝不足で体調不良でいると体温をうまく調整できなくなります。
その他、心臓病や高血圧などの持病を持っている場合もリスクが高くなります。
■行動
激しい運動や長時間の屋外作業を実施していたりすると、体温がどんどん上昇していきます。
その状態で水分を補給できない場合は脱水状態に近づいていき、熱中症のリスクが高くなります。
高齢者になると加齢に伴う身体能力低下のため、体温調整機能が衰えて汗をかく量が少なくなり、体温がこもりやすい状態になります。
さらに暑さも感じにくくなっているので自身の体温が高い状態であることに気づきません。
また、若年層と比べて体内に保持できる水分量が少なくなっているため、すぐに脱水状態になりやすい状態になっています。
持病の薬を服用している場合は、副作用で利尿作用が働いて、水分が不足しているかもしれません。
のどが渇くという感覚も感じにくいため、輪をかけて脱水状態になりやすくなります。
もう一つ高齢者の熱中症で特徴的なのが「ついつい我慢や無理をしてしまう」ところ。
トイレに補助が必要な方は水分を摂るとトイレの頻度が多くなるため「迷惑をかけたくない」と考えているかもしれません。
他にも「電気代が勿体ないから」「夏は元々暑いものだ」と頑固になって冷房設備を使用しなかったりするのも熱中症を引き起こす原因となっています。
高齢者の気持ちを思いやりながら対策する
気象庁から出ている「日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化(1898〜2020年)」をみてみると、日本の夏は確実に昔と比べて暑くなっています。
※日本の季節平均気温「日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化(1898〜2020年)」(気象庁ホームページ)より
しかし高齢者にとって今までの生活を簡単に変えることは難しいでしょう。
そのため高齢者の気持ちを思いやりながらの熱中症対策が必要です。
■気温や湿度の状態を視覚化する
体感で暑さに気づくことが難しい高齢者のために、気温計や湿度計などを利用して室内がどのような状態なのかを分かるようにしましょう。
冷房設備を使用したときに「室温28℃」「湿度50~60%」になるのが理想です。
暑いと感じていなくても、基準の室温・湿度と同じになるように調整しましょう。
■冷房設備をうまく利用する
「冷たい風がイヤ」という高齢者も多いと思います。
そこでエアコンや扇風機の風が直接当たらないようにしたり、除湿機能を使うなどして工夫しましょう。
風向を天井に向ければ冷たい空気は床に降りてくるので、部屋全体を冷やすことができます。
■水分摂取をする時間を計画化する
自身でのどが渇いていると判断が難しい高齢者ですが、一度に大量の水分を摂取するのも無理があります。
なので、一日のうちに水を飲むタイミングをあらかじめ決めておくといいでしょう。
起床・就寝前後、食事の前後、入浴の前後などにすると家族も飲むタイミングを把握しやすくなります。
熱中症にならないように快適な空間を準備するのは手間がかかり、迷惑になるのではないかと不安になる方もいるでしょう。
しかし重度の熱中症にかかってしまえば何日もの入院が必要になり、最悪死亡してしまうこともありえます。
暑さを我慢することは誰のためにもならず、美談にもなりません。
熱中症にならないようにできうる対策を行って、今年の夏も乗り切っていきましょう。
<出典>
・「熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)より 」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho19/index.html)
・「令和元年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況 」(総務省消防庁)
(https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post1.html)
・日本の季節平均気温「日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化(1898〜2020年)」(気象庁)
(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/sum_jpn.html)
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