「白って200色あんねん。」というのは、タレントさんが発した有名なフレーズです。
実際のところ、私たちが「白」と感じる色は200種類以上あります。
微妙なニュアンスの違いでそれぞれ名前が付けられているのです。
そんな色の種類と違いを区別してみましょう。
前回と同じく、色と名前を一致させる選択式のクイズです。
今回は同系色でまとめており、色の雰囲気と名前を繋げるのがポイントです。
名前群から、どの色の名前なのかを当ててみてください。
解答はブログ記事の下部の「解答編を開く」でご紹介します。
※各色のカラーコードや名前は、おおよそのものになります。
文献や書籍により解釈が異なる場合があります。
①
名前群
①退紅(あらぞめ) ②銀朱(ぎんしゅ) ③照柿(てりがき) ④茜色(あかねいろ) ⑤唐紅(からくれない) ⑥真紅(しんく)
②
名前群
①鳥の子色(とりのこいろ) ②鬱金色(うこんいろ) ③山吹色(やまぶきいろ) ④琥珀色(こはくいろ) ⑤菜の花色(なのはないろ) ⑥芥子色(からしいろ)
③
名前群
①舛花色(ますはないろ) ②紅碧(べにみどり) ③白群(びゃくぐん) ④空色(そらいろ) ⑤紺碧(こんぺき) ⑥瑠璃色(るりいろ)
④
名前群
①消炭色(けしずみいろ) ②呂色(ろいろ) ③黒鳶(くろとび) ④墨色(すみいろ) ⑤鉛色(なまりいろ) ⑥漆黒(しっこく)
⑤
名前群
①白練(しろねり) ②月白(げっぱく) ③白磁(はくじ) ④乳白色(にゅうはくしょく) ⑤卯の花色(うのはないろ) ⑥胡粉色(ごふんいろ)
問題は以上になります。
解答編を開く
①
■真紅(しんく)
深みのある「真の紅」を指す色です。
かつては、一定の地位や官位を持たないと着てはいけない禁色(きんじき)に指定されていました。
■銀朱(ぎんしゅ)
朱色は辰砂(しんしゃ)と呼ばれるとても高価な鉱石から作られた色です。
「辰砂に水銀と硫黄を混ぜて作った人工顔料」の色が銀朱になります。
■退紅(あらぞめ)
「色褪せた紅染め」の色に由来します。
元々は洗紅と書き、たいこうとも読まれます。
■照柿(てりがき)
「熟した柿の果実のような色」が照柿です。
柿というものの、実際の色を出すのには梅の木が使われるのが面白いです。
■唐紅(からくれない)
韓紅とも書き「海外から渡来した紅」という意味を持つ色です。
小倉百人一首にも登場する色です。
■茜色(あかねいろ)
「染料であるアカネの根の色」に由来します。
やや黄みがかった暗い赤で、夕焼け空の形容にもよく使われますね。
②
■芥子色(からしいろ)
カラシナの種を粉末にして作る調味料、からし。
「からしのような鈍い黄色」がその名前の由来です。
■鳥の子色(とりのこいろ)
鳥の子はヒヨコのことと思われがちですが、鶏の玉子のこと。
「鶏の玉子の殻の色」が鳥の子色です。
■鬱金色(うこんいろ)
「鬱金の根で染めた赤みがかった鮮やかな黄色」が鬱金色です。
名前に金が含まれていることから、金運アップに縁起が良いと財布や風呂敷の染色にも使われました。
■菜の花色(なのはないろ)
「アブラナの花の色」が菜の花色になります。
かつては菜種色(なたねいろ)と呼ばれていましたが別の色の菜種油色(なたねゆいろ)と混乱するため、呼び変えるようになりました。
■琥珀色(こはくいろ)
透明感のある黄褐色で「琥珀の石の色」に由来します。
主にウイスキーの色合いを詩的に表現するときに使われていますね。
■山吹色(やまぶきいろ)
落葉低木である「ヤマブキの花の色」から名づけられました。
時代劇で使われる山吹色のお菓子は、小判の黄金色を例えた賄賂の隠語です。
③
■瑠璃色(るりいろ)
鉱石の「ラピスラズリ(瑠璃)の色」から由来する紫みを帯びた濃い青色です。
瑠璃は、仏教における七宝(しちほう)の一つとされていたそうです。
■舛花色(ますはないろ)
歌舞伎役者の五代目、市川團十郎が好んで使っていた色です。
名前は、市川家の家紋の「三舛」と「縹色(はなだいろ)」に由来します。
■空色(そらいろ)
名前の通り「良く晴れた昼間の空を思わせる色」です。
昔から変わることのない爽やかな自然の色の名前です。
■紅碧(べにみどり)
「空色に下染めした上に紅花で染め重ねた染色法」から名づけられた色です。
またの名を紅掛空色(べにかけそらいろ)ともいいます。
■白群(びゃくぐん)
岩絵の具に使う藍銅鉱(らんどうこう)を最も細かくしたときの「白みを帯びた青色」のことを指します。
群は群青の意で、砕いた鉱物が青の粒の集まりから「青が群れ集まる」という意味で名づけられています。
■紺碧(こんぺき)
濃い青色の「紺色」と強い青緑色の「碧色」から成る「深く濃い美しい青」を表す名前です。
空や海の色を表す時によく用いられます。
④
■呂色(ろいろ)
漆器の塗りの技法の一つ「蝋色塗りで現れる光沢を持った深い黒」が呂色です。
職人の高度な技法によって得られる美しい色です。
■墨色(すみいろ)
「書道用具の墨の色」から由来する灰色ががかった黒です。
通常の黒よりも少し柔らかさを感じる色ですね。
■漆黒(しっこく)
黒漆を塗ったような「深く艶のある黒色」を指します。
黒の中でも最も暗い色という意味で使われることが多いです。
■黒鳶(くろとび)
猛禽類である鳶の羽の色を更に暗くした「黒みのある暗い赤褐色」です。
江戸時代の小袖の色として人気のあった色です。
■鉛色(なまりいろ)
鉛の表面のような「少し青みを帯びた灰色」で、明治以降から使われるようになった色です。
鈍い色であることから、憂鬱な気分になるものを表す時に使われますね。
■消炭色(けしずみいろ)
「消炭のような少し橙みのある灰色」です。
消炭は燃えている炭を途中で消して作る炭のことで、炭の灰と火の色の橙が絶妙に合った色です。
⑤
■卯の花色(うのはないろ)
旧暦4月頃に咲く「ウノハナのような色」です。
わずかに黄みがかった白で昔から白さを表す色として有名です。
■白練(しろねり)
蚕の繭を製糸した生糸を精練した糸を練糸(ねりいと)といいます。
練糸は「生糸から黄みを消した光沢のある白色」をしているため名づけられた色です。
■乳白色(にゅうはくしょく)
「乳のように不透明な白色」が乳白色の由来です。
日本ではあまり一般的ではなかった牛乳の色を表す珍しい色です。
■月白(げっぱく)
少し青みがかった白で「月の光を思わせるような白色」を指します。
美しい月の情景を感じさせる美しい名前ですね。
■白磁(はくじ)
同じ名前で白磁という磁器があり、そのまま名前になったものです。
「白色の粘土素地の色」がそのまま活かされた、素朴でありながら少し透明感のある白です。
■胡粉色(ごふんいろ)
貝殻から作られる白色顔料である「胡粉の色」から名づけられました。
ごくわずかに黄みがかった白色で下塗りにして発色を良くする効果があります。
皆さんは、色の印象と名前がいくつ一致したでしょうか。
他の似た色と並べることにより、思っていた色と少し違うということもありそうです。
無数の色の中から互いの色の印象を一致させるために名前は存在します。
色の名前のニュアンスや色みのわずかな違いを感じ取れるようになっていきたいですね。