今が「旬」なたべものたち《ズッキーニ》
しとしとと雨が降る、梅雨の時期。
夏がもうすぐそこまで来ているのを感じることができる季節です。
そんな季節にも旬を迎える野菜は数多く存在します。
今回は、梅雨に旬を迎える「ズッキーニ」をご紹介します。
キュウリの仲間に見える夏野菜
スーパーで見かけるキュウリのような緑の細長い野菜、それが『ズッキーニ』です。
キュウリのような見た目をしていますが、実は「ペポカボチャ」と呼ばれるカボチャの仲間です。
日本では「おもちゃカボチャ」と呼ばれることもあります。
食感はナスに似ており、淡白な味わいと仄かな苦みが特徴です。
一般的なズッキーニは緑色のものが多いですが、黄色やオレンジ、ツートンカラーやまだら模様など色が異なる品種があります。
形状も様々で、まん丸になる「丸ズッキーニ」や少し平たい円盤状の「UFOズッキーニ」などの品種もあります。
ズッキーニは北アメリカ南部からメキシコが原産の野菜です。
現地では「夏カボチャ」と呼ばれており、その名の通りカボチャに似た丸い形をしていたそうです。
16世紀頃のヨーロッパの植民活動により、ズッキーニはヨーロッパに持ち込まれ、品種改良の後に現在のような細長い形になりました。
フランス料理の「ラタトゥイユ」やイタリア料理の「カポナータ」など、ヨーロッパには夏野菜を炒め煮にする伝統料理が存在していたため、ズッキーニは広く普及していきました。
日本にはイタリア料理ブームが起きた1970年代後半ごろにアメリカから輸入され、今では一般的な野菜として知られるようになりました。
ズッキーニはハウス栽培が可能なので、1年を通してスーパーで見かけることができます。
しかし、本来は春に種を撒くと初夏から夏の間に収穫できる夏野菜で、旬は6月から8月です。
一般的に出回っているのは開花後4-5日後の未成熟の果実ですが、開花後2日ほどで収穫する「花ズッキーニ」は、花の部分も食べることができます。
しおれやすいので流通が難しく、旬の時期もとても短いので、なかなか見かけることは無いかもしれませんね。
ズッキーニの栄養
前述の通りズッキーニはカボチャの仲間ですが、一般のカボチャと比べて水分が多く、炭水化物が少ないためカロリーが低い野菜です。
反面、カロテン量は一般のカボチャの半分以下であり、緑黄色野菜ではなく淡色野菜に分類されます。
主な栄養を見てみるとズッキーニには「カリウム」が豊富に含まれているため、身体の余分なナトリウムの排出し、高血圧やむくみの解消に効果があります。
また、カロテンが半分以下とはいえ、通常の淡色野菜よりも多く「β-カロテン」や「ビタミンB群」、そして「ビタミンC」を含んでいます。
身体の免疫力を高めて代謝を良くしてくれるので、風邪の予防やアンチエイジングも期待できます。
ズッキーニの選び方やおすすめの食べ方
ズッキーニは収穫しないで大きく成長して完熟に近づくと、繊維質が増えてしまい硬くなってしまうので味が悪くなります。
また一般のカボチャとは違い収穫後に追熟が出来ないため、新鮮なうちに食べるのが良いとされています。
スーパーで選ぶときは、太さが上から下まで均一で表面に傷が無く、ツヤがあるものを選びましょう。
ヘタの切り口が瑞々しいものが新鮮です。
ズッキーニは暑さにも寒さにも弱く、水分が多いので切ると傷むのが早くなります。
そのため、夏以外は丸ごとキッチンペーパーなどに包んで、冷暗所で保存すると比較的長持ちします。
切ったものは冷蔵庫での保存が必須ですが、どちらも時間が経つと乾燥して実がスカスカになるので、3~4日ほどで食べきるようにしましょう。
ズッキーニの適した調理方法は、ナスに近くなります。
油との相性が非常に良く、一緒に摂取すると栄養素のβ-カロテンの吸収率が良くなります。
フライや天ぷらなどの揚げ物や他の野菜や肉との炒めもの、パスタやオーブン焼きなども美味しいですね。
中身をくり抜いて詰め物をして、揚げたり焼いたりするのも良いですね。
代表料理にも出たラタトゥイユは、炒めた後に煮込むため、栄養も旨味も逃さすことがありません。
素早く炒めると歯触りよく、長く加熱するとトロトロになるので食感を活かして調理してみてください。
生でも食べられますがそのままだとえぐみが強いので、水にさらしたり塩もみをしたりすることでサラダとしても美味しく食べられます。
また、新鮮な花ズッキーニを手に入れたのなら、イタリア本場のようにフリットにするのはいかがでしょうか。
花の中心にある、めしべやおしべを取り除いた後、花の中にチーズや挽き肉を詰めて、衣をつけて揚げます。
天ぷら粉でもいいですが、ベーキングパウダーやメレンゲを入れた衣の方が本場感を楽しめます。
比較的日本での歴史が浅いズッキーニですが、クセが少なく調理しやすいため、今では一般的になった野菜です。
日常使いがしやすい分、今が旬のものと食べ比べて、その美味しさを実感してもらいたいですね。
また、まだ食べたことない人も、この機会に試してみるのはいかがでしょうか。
次回はどんな野菜をご紹介するかお楽しみに。
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