暖かいお湯に浸かってほっと一息。入浴で歴史と得られる効果とは。
一日を頑張った時に入るお風呂は格別です。
湯船に浸からずにシャワーだけで済ませる方も多いと思いますが、昔から入浴には身体の汚れを落とす以外にも様々な効果があるといわれています。
その効果を知らないままでは、なんだかもったいないですよね。
今回は日本人の入浴の歴史に触れ、入浴の効果をご紹介しようと思います。
お風呂大好き日本人と入浴の歴史
日本人の入浴の歴史は6世紀頃まで遡ります。
元々日本列島には活火山が多く点在しているので、全国各地で温泉が湧き出ていました。
日本最古の正史「日本書紀」にも温泉に浸かっている記載が残されています。
当時の温泉は禊の神事などに使用する信仰的な扱いだったようです。
お風呂への入浴の原点は、仏教において身体を清めるために行う『沐浴(もくよく)』だといわれています。
寺院には沐浴の施設が作られると同時に「身体を清めることは病を退けて福を呼ぶ」として奨励されたため、一般の民衆にも開放されていました。
しかし当時の入浴は今のように湯を張った湯船に浸かるのではなく、蒸し風呂のように蒸気で汚れを浮かせて洗い流すものだったようです。
入浴が一般的に行われるようになったのは江戸時代に入ってからのことで、公衆浴場である「銭湯」が誕生します。
但しこの頃は従来の蒸し風呂に加えて、膝丈程度の湯に下半身を浸す「戸棚風呂」という半身浴のようなスタイルが一般的でした。
現在のように肩まで浸かる全身浴が登場したのはそれから暫くして、慶長年間(1596~1615年)の終わりごろだといわれています。
よく「日本人は風呂好き」といわれています。
ある説によると日本は多湿な気候であるため、住居は風通しの良い構造が好まれていました。
そのため冬は寒くなるので防寒のために入浴がされていました。
逆に夏は多湿に加え高温にもなるので汗をかきやすくなります。
このような風土が年間を通して入浴が好まれる理由になったといわれています。
入浴の具体的な効果
現代医学において入浴には7つの健康効果があるといわれ「入浴7大健康効果」と呼ばれています。
①温熱作用:体を温めて血流アップ
身体が温まると血流が良くなり、新陳代謝が活性化して疲れをとることができます。
また関節を柔らかくしたり、神経が過敏になるのを抑えて慢性的な痛みも和らげてくれます。
なおシャワーでも多少の効果はありますが、全身が温まる入浴に比べると効果は減少します。
②静水圧作用:しめつけて「むくみ」を解消
全身をお湯に浸かると水圧が加わります。
この水圧がマッサージのような役割を果たし、むくみを解消します。
また水圧の締めつけが血流の流れを助け、「温熱作用」と同様に血液の流れがよくなります。
③浮力作用:筋肉や関節をゆるめて緊張をとる
水には浮力があり、人間が水中にいる状態だと体重が「10分の1」程度になります。
普段は重力によって関節や筋肉に負荷がかかり常に緊張状態にありますが、これが緩むことでリラックス状態になります。
④清浄作用:体の汚れを洗い流す
温かいお湯に浸かると肌が柔らかくなり毛穴が開きます。
そのため、毛穴に詰まっていた汚れや皮脂も流れ出しやすくなります。
シャワーは身体の表面の汚れを落とすことができますが、毛穴を開くまでには至らないので洗浄効果は低くなります。
⑤蒸気・香り作用:免疫力を高め、自律神経を整える
お湯から立ち上る蒸気が鼻や喉に湿り気を与え、免疫力の低下を防ぐことが出来ます。
またアロマオイルなどを垂らすことにより蒸気によって香りが浴室内に充満し、自律神経の調節にも役立ちます。
⑥粘性・抵抗性作用:手軽な運動療法効果
水圧や浮力によって水中ではゆっくりとした運動やストレッチが行えます。
これにより適度に筋肉に刺激を与えることができます。
⑦開放・密室作用:日常から開放されるリラックス効果
浴室は外部から遮断された密室です。
1人でお風呂に浸かることにより、心も体も開放的になります。
リラックスした空間はストレス解消の効果が期待できます。
入浴時の温度や浸かり方
様々な効果がある入浴ですが、求める効果によって方法を変えるのが良いとされています。
お風呂の温度を変えることで、自律神経の働きが変わります。
42~43℃の熱いお湯になると「交感神経」が刺激されます。
「交感神経」が働くと血圧が上がり頭をすっきりさせます。
逆に35~38℃のぬるいお湯になると「副交感神経」が刺激されます。
「副交感神経」が働くと神経を鎮静化させリラックス効果が高くなります。
肩まで浸かる「全身浴」は身体全体に効果が期待できます。
一方で身体の内側にも負担がかかるため、血圧が高い人や心臓・肺に疾患がある人、妊娠中の人は注意が必要です。
「半身浴」はみぞおちのあたりの深さのお湯に浸かる入浴方法で、血圧の急激な変動を防ぎ心臓に負担をかけずに身体を温めることが出来ます。
湯船を張るのが面倒だからとシャワーだけで済ませてしまうことも多いかもしれませんが、入浴にはたくさんの効果が期待できます。
身体が温まるとなんだか気持ちも楽になるような気がします。
今日は入浴の効果を意識しながら、ゆったり浸かってみるのはどうでしょう。
出典:
「最高の入浴法:お風呂研究20年、3万人を調査した医者が考案」(早坂信哉, 大和書房 2018年12月)
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